2024.01.19
~リバークルーズの魅力~
「今どのクルーズに乗りたいですか?」と聞かれたら、私は迷わず、ヨーロッパのリバークルーズを選ぶでしょう。
寄港地には大きな都市もあり、もちろんバスツアーにも参加できますが、私は中世の時代から時間がストップしたような、小さな町の石畳の路地裏をゆっくりと自分のペースでまわり、教会や地元の人が集まるカフェでひと休みをするのが好きです。
ワイン畑や教会の塔から、街を見渡したり、川に沿って散策したり。
地元の食材が集まる市場に寄るのも楽しみのひとつです。
そして時には迷ってみるのも楽しいものです。たとえ迷ったとしても、川まで出ることができれば、すぐに「我が家」へ帰ることができるのです。船からの徒歩ツアーも楽しいものです。
リバークルーズと海のクルーズの違いとして、船の大きさや施設、船内レストランの数、船内イベント等々挙げられますが、わたしがリバークルーズをお勧めするのは下記のような理由からです。
揺れない
川ですので波がなく、船酔いが心配」という方も安心です。
滑るように進んでいくのを感じます。
乗下船、移動が簡単
テンダーボート下船もなく、乗下船がすぐできます。
着岸する場所は市内に近いところがほとんどなので、ツアーに参加しないときでも、徒歩でゆっくりと自分のペースで観光ができます。
乗客数が少ない
平均的に150人前後の乗客数です。他のお客様やクルーと知り合う機会が多く、よりきめ細かいサービスを感じます。
そして乗客が少ないぶん、寄港地もゆっくりとまわることができ、クルーズをさらに思い出深いものにしてくれます。
地域性が反映されるお料理や飲み物
もちろん海のクルーズでも、寄港地の特産物を使ったお料理や飲み物をいただくことはできるのですが、リバークルーズではさらに地域性が反映されたお料理が提供されるように思います。
両岸の景観を楽しむことができる
屋上のデッキにて、両岸をゆっくりと流れていく美しい田園風景や歴史的建造物を眺めながら過ごす贅沢なひととき。
これぞリバークルーズの醍醐味ではないでしょうか。水との一体感も感じます。
それだけではなく、犬を連れて川辺を散歩するひと、自転車のスピードを上げて船と並走しようとする子供達、そしてそれに気づいた船長が鳴らす汽笛の音。船から手を振ると、手を振り返してくれる、そんな地元を感じられるのも魅力です。
往復1週間ほどの定番のクルーズも、クルーズ会社の船や時期によって寄港地は様々ですが、リバークルーズが初めての方にはドナウ川クルーズをお薦めいたします。
昔、ドナウ川は人の往来と物資の輸送の重要なルートであり、ドナウ帝国内の多民族と文化を繋いでいました。いかに川沿いに街が広がっていき、経済や文化、芸術が発展していったかを感じ取ることができます。
ハプスブルグ家の歴史がお好きな方には、なおさらお薦めです。知的好奇心も満足させながら、ゆっくり、のんびり過ごすというクルーズスタイルです。
ドナウ川は全長約2,860キロメートル。ドイツ南部のシュヴァルツヴァルトを水源とし、中部ヨーロッパ、東ヨーロッパを東西に流れて黒海に注ぐ、ヨーロッパ第二の大河です。
そのドナウ川クルーズの寄港地の中でもお気に入りの街、「パッサウ」をご紹介させていただきます。ミュンヘン空港からバスと電話を乗り継いで約2時間半。
小さな駅で降りました。
パッサウでの乗船場所は、市庁舎前の広場。
船が2隻、平行に停泊されているのがおわかりになりますでしょうか?
停泊のスペースが限られているので、2隻平行して停泊し、奥に停泊している船の乗客は、外側の船の中を通って下船することがあります。なんともユニーク。
クルーが忙しそうでなければ許可をいただいて、お隣の船内を見学させていただけないか聞いてみることがあります。
それぞれ特徴のある船ですから、次に乗ってみたい船に遭遇するかもしれません。
乗船時間より早く着いてしまったので、船に荷物を預かっていただき散策に出かけましょう。
パッサウはドイツ南東部に位置し、人口は約5万人、貿易の拠点として栄えた歴史深い街。
市庁舎の裏には、バロック様式の聖シュテファン教会があります。
ここには世界最大のパイプオルガンがあり、1日1回、演奏が行われているので、お時間があれば、ぜひこのオルガンの荘厳な音色を聴きに寄ってみてください。
教会の中では帽子をとるのを忘れずに。
17世紀の大火で町並みがバロック様式に統一され、美しい家並が続きます。
カフェやおみやげ屋さんを覗きながら、石畳みの路地をひたすら散策。
どこを撮っても絵になる街なのです。
この市庁舎の隣にLöwen Brauhaus Passau という素敵なレストランがあります。
外の席に座って、川向こうの丘陵地にそびえ立つオーバーハウス要塞や、時々行き交う船を眺めながら、美味しいバイエルン料理と冷たいビールをいただきましょう。
いつまでもこの景色を見ながら座っていたいのですが、お腹と好奇心を満たしたら、橋を渡り、丘陵地を登ってオーバーハウス要塞を目指します。
パッサウは1217年に領主司教国となりました。
この要塞は1219年に領主司教館として、そして外敵からの防衛のため建設されました。
今は博物館となっています。
鳥のさえずりを聞きながら進む道はこんなに素敵です。
オーバーハウス要塞からは、美しいパッサウの街を一望することができます。
自分が乗る船もよく見えます。
バイエルン公マクシミリアンは、オーストリア、ハンガリー王国とのつながりを強化するため、次女のエリザベートをオーストリア皇帝に嫁がせたといわれていますが、その際、このパッサウからウィーンへ船で嫁いでいったそうです。
パッサウはドナウ川、イン川、イルツ川の3つの川が合流する地点に位置し、天気の良い日には、それぞれの川の水の色の違いまでわかります。3つの川が増水すると氾濫してしまいますが、市庁舎の壁には記録的な洪水があった年が記されています。
私も一度、パッサウ到着日に市庁舎の広場がみるみる水に浸かっていくのを目の当たりにしてびっくりしたことがあります。
この写真に写る右側の川がイン川、左側がドナウ川。それぞれの川の水の色が異なるのがわかります。それにしても、向こうのほうまで続く田園風景の美しいこと!
できることなら数日は滞在したい魅力的な街です。
そろそろ乗船時間です。
クルーに「お帰りなさい」と言われて戻る「我が家」はとても心地が良く、荷物を置いて、ワクワクしながらデッキに上がってみました。
海のクルーズは、寄港するまで海の景色が続きますが、リバークルーズ中は、このような風景が続きます。
わざわざ飲み物を持ってきてくれたクルーが、ドナウ川には200隻近いリバークルーズの船が行き来していることを教えてくれました。
これから「ドナウ川の真珠」と呼ばれるブダペストまで、7泊8日のリバークルーズが始まります。
(クルーズコンサルタント 鈴木理子)
おすすめクルーズ
※上記は全て、2名様1室ご利用時のおひとり様あたりのご料金です。
上記以外にも、おすすめクルーズがございます。お気軽にお問い合わせください。