初めてお会いする乗客の方からクルーズのお話を聞くのもワクワクしますし、クルーとのコミュニケーションも楽しいものです。

寄港地での観光はもちろんですが、バルコニーで波の音を聞きながら星を眺めて寛いだりするのもお気に入りの過ごし方。

どんな方との新しい出会いが待っているのか、毎回とても楽しみにしています。

 

好奇心旺盛の乗客の方がたから船のことはもちろん、世界中の寄港地のこと、お料理やワインのこと、教えていただくことがたくさん。

またすぐに次のクルーズに乗りたくなりますが、しばらく乗らないときは、クルーズの情報を見ながら、妄想クルーズに出発しています。

 

枕３つ

 

キャビンを一人で使うことが多く、大きなベッドに枕が４つ以上あることにワクワクします。

家ではできないので、毎晩、枕を３つ使って寝ていました。

 

夕方キャビンに戻ると、きちんとベッドメイキングがされていて、ふっくらとした枕は左右に２つずつ戻されています。

ある日キャビンに戻ると、左右に枕が３つと１つ！私の好みを知って、様子をみながらいつもと違うことをしてくれたのです。

 

その気持ちが嬉しくて、ますますクルーズが好きになりました。

 

内側キャビン

 

ある時内側キャビンでクルーズをしたことがあります。

 

内側キャビンには窓はなく、バルコニーのあるキャビンのような開放感はありませんし、少し狭めでした。バルコニーでの時間を楽しみにしていたので、最初は少し戸惑ったのですが、この時のおかげで、内側キャビンの良いところがわかりました。

 

太陽の光が差し込まないキャビン。ですが間接照明のみのおかげで、とても落ち着いた時間を過ごすことができたのです！

日中はあちこちを周り、船に戻ってきてからは色々なイベントを覗き、着替えてディナーに行き、1日の終わりに心地よくも疲れを感じる時があります。

この内側のキャビンに戻ると、周りの音もせず、柔らかい光の中で落ち着いて休むことができたのです。

 

太陽の光が差し込まないことを残念ととるか、それとも新しいことを体験できる、ととるか。その捉え方で、クルーズの楽しみも変わってきます。

 

いつもであれば気がつかないことに気づかせてくれる、クルーズはそんな機会に溢れている気がします。

曜日を教えてくれるエレベーター

 

毎日変わる寄港地、美味しいお食事、楽しい船内イベントやエンターテイメント。

毎日ワクワク楽しく過ごしていると、忘れてしまうのです。

 

「あれ、今日何曜日？」。

ある船で乗ったエレベーター。中のカーペットに、その日の曜日が入っているのです！

 

クルーによると、夜中に全てのエレベーターのこの部分を取り替えているのだそうです。曜日がわかるエレベーター、この船以外にもあるのでしょうか。

「携帯で確認できるから必要ないでしょう」、と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、「我が船で、曜日も忘れてしまうくらい楽しいクルーズにお連れします！」と言われているよう。ユーモアのある気遣いだと思いました。

 

抜港

 

天候が荒れて予定の寄港ができず、抜港になってしまうことがあります。

クルーズ船には高性能のスタビライザーが搭載されているので、普段は揺れを感じることはありませんが、天候には勝てません。その寄港地での観光を楽しみにしていた方々はとても残念でしょう。

 

残念ではあるのですが、実は私、ちょっとホッとしたりもするのです。

わたしはどこにも寄港しない「終日航海日」が好きです。その日1日、船に戻ってこないといけない時間を気にせずに、ゆっくりと「船を楽しむ」ことができます。抜港になってしまうときは、そんな優雅な1日をプレゼントしてもらえた、と思っています。そしてその寄港地を、次回訪れる楽しみが生まれ、「楽しみ」の持続感が伸びた、そんな風にも思います。

 

内側キャビンの時もそうですが、物事にはふた通りの捉え方があって、何か思いがけないことが起こっても、それをプラスに捉えることができるほうが、よっぽど楽しいと思います。

その同じクルーズですが、レセプションで丁寧な対応をしてくださった女性、どこかでお会いしたような…。思いきって尋ねてみました。

返ってきた答えは、「わたしも同じことを思っていました！去年、ドナウ川のクルーズに乗船されていませんか？」やっぱり！1年も前の乗客の顔を覚えていてくれるなんて、とても嬉しいことです。

 

そういえば、クルーは担当しているキャビンの乗客の名前を覚えてくれていることがほとんどです。毎週のように乗客が入れ替わることが多いのに、名前を覚えてくれている、気持ちが温かくなるおもてなしです。

名前だけでなく、船内のコーヒーショップに寄ると、「いつものですね？」と覚えてくれていたクルーもいました。

 

この時の再開には続きがあります。すぐ後ろにいた男性が、「わたしもそのクルーズに乗っていましたよ！お二人とも見覚えがある、と考えていたところです！」

 

80億人もある世界の人口。地球の裏側で、こんな偶然もあるのですね。