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2023.02.28

『そしてクルーズへ』

もう30年ほど前にメキシコへ居住を移し、初めての休暇を考えたときに頭に浮かんだのは、このふたつの行き先であった。どちらも好奇心に溢れる人々を魅了する旅先ではあるけれどとても遠く、訪れるのはなかなか難しい。日本から行くよりメキシコからの方がまだ近い。最終的に選んだ旅先は、手のつけられていない自然の中で、たくさんの動物を見ることができるガラパゴス諸島。ダーウィンが「種の起源」を執筆するのに調査をした地、独特の進化を遂げた動物たちの楽園を訪れることにした。

 

メキシコシティーから飛び、エクアドルの首都、キトへ到着。あくびは出るけれど、なかなか寝付けず、頭も痛い。キトはメキシコシティーよりも600メートルも標高が高いのだ。次の日、富士山にそっくりな美しいコトパクシ山を背に、期待に胸を膨らませながら小さな日本製の中古の飛行機に乗り込み、ガラパゴスのバルトラ島へ。私の初めてのクルーズが始まった。

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バルトラ島で、乗客数90名、クルー数48名、1,500トンの船に乗り込む。客室にはベッドやバスルーム、必要なものがコンパクトにまとまっている。夜にはターンダウンサービスもきちんとあり、枕元には毎晩、エクアドル産チョコレートが置かれた。バルコニーはなかったけれど、ドアを開けるとすぐにデッキに出ることができ、海を間近に感じた。嬉しくなってデッキから海を覗き込んだら、アシカがプカプカ気持ち良さそうに浮いている!この数日の間に出会うであろうたくさんの動物を想像した。

 

 

「警戒心のないユニークな動物たち」

 

乗船しているナチュラリスト・ガイドから、ガラパゴス国立公園内への上陸に関する厳しいルールの説明を受ける。ガラパゴス国立公園内の無人島へは、認定を受けたナチュラリスト・ガイドと共にしか上陸できず、トレイルから外れること、動物や植物に触れることは厳しく禁止されている。食べ物やアルコールを持ち込むこと、石や砂、貝などを移動させたり持ち帰ることも禁止。ガラパゴス国立公園は特別な場所、厳しいルールを守ることで、その美しい自然が守られていることを頭の中で再認識。各々、靴の底をよく拭いてから上陸した。

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数日かけて回ったガラパゴス諸島では、様々なユニークな動物に出会った。

ノース・セイモア島では、胸が真っ赤なグンカンドリや華やかな水色の足をしたアオアシカツオドリ。フェルナンディーナ島、プンタ・エスピノーサの岩場は、見渡す限り、小さな恐竜のようなガラパゴスウミイグアナで覆われていた。体温を保つために身を寄せ合っているらしい。あまりの大コロニーに言葉が出ない。このウミイグアナ、生息地によって独特の進化を遂げ、体型や色も異なるらしい。冷えて固まった溶岩の割れ目からは、まるでイソギンチャクのような溶岩サボテンが生えている。バルトロメ島で有名な「ピナクル・ロック」を眺めていた私の足元に、海から上がってきたガラパゴス・ペンギンがやってきて、私を見上げる。万が一私の足に触って、島には存在しない菌をペンギンにうつしてはいけないので、そっとその場を離れた。ガラパゴスアシカに近づいて写真撮影をしようとした乗客が、すぐにナチュラリスト・ガイドから注意を受けていた。鮮やかなオレンジ色のガラパゴスベニイワガニで埋め尽くされた岩場から、高く広い空を見上げ、どこまでも続く海にめをやる。ガラパゴス諸島最大の島、イザベラ島では、念願のガラパゴスゾウガメに出会うことができた。どの島でも自然のままの動物たちに驚きの連続であった。

 

 

動物の楽園を保護していくには、厳しいルールを守り、自然をリスペクトしていく必要がある。頭ではわかっていても、現地で壮大な自然に触れ、脳にダイレクトにくる意識に勝るものはない。

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「船での時間」

 

この小さな船には、プールもなく、生バンドの演奏もショーもなかったが、様々な国から集まった乗客やクルーから、世界中を旅した話を聞きながら談笑したり、デッキで風を受けながらゆったりと大海原を進み、見たこともない壮大なスケールの自然を楽しめることが最大のエンターテイメントだった。ショーや船内イベントで「退屈する暇がない」、という過ごし方ではなく、大自然の中に身を置いてゆっくりと過ごすことで「好奇心を満たす」、そんな過ごし方ができる時間であった。

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釣竿を持ったクルーに、「15分後にsashimiパーティーですから、ラウンジへぜひ!」と言われ、綺麗に捌かれたタイを、日本のチューブワサビとお醤油でみなさんと一緒にいただいた。ガラパゴス諸島でお刺身をいただけるなんて、思ってもみなかった。

日本人だと知って、「待ってました」とばかり、満面の笑みで将棋盤を持ってきたクルー。

最後の夜には、キャプテンズ・テーブルへお招きいただき、緊張しながらオランダ人のキャプテンと話をした。この小さな船のゆったりと流れる時間の中で、たくさんの人と出会い、社交も学んだ。自分の中の何かが目覚めていくような、そんなことを感じたのを覚えている。

 

 

「クルーズ旅のテーマ」

 

この時のテーマは、「自然の中で動物を見ること」であった。「クルーズ船」は、当時の私には移動手段でしかなかったが、初めてのクルーズでその意識が変わっていくのがわかった。

 

クルーズ旅のテーマは人それぞれ。行き先で選ぶか、船で選ぶか、過ごし方で選ぶか、何を経験したいか。

 

クルーズどころか旅行もなかなかできなかった3年近く。「退屈する暇がないくらい楽しい」クルーズもいいし、「ゆったりと過ごす」大人のクルーズもいい。我慢した3年、自分を浄化するように、思い切って辺境の地へ向かうのもいい。

 

30年近く前に始めて乗ったクルーズを思い出しながら、私は今後、好奇心を満たしてくれるクルーズを、今までよりも大事に丁寧に乗りたい、と思っている。

 

(クルーズコンサルタント 鈴木理子)

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